秋田県で発生した水害の支援ボランティア実施を目的に、現地に車で向かい被災した家屋の内外の清掃手伝いと物品の移動や片付けを行いました。また同じ東北県内のローバースカウトに声をかけ、秋田県と山形県からも3人のローバーが来てくれました。
まとめ
目的 | 秋田県で発生した水害の支援ボランティアを行うこと。 |
日時 | 2023年7月20日(木) 10:00 秋田災害ボランティアセンター現地集合 15:30 秋田災害ボランティアセンター現地解散 |
場所 | 秋田県災害ボランティアセンター(秋田市八橋南一丁目8-2) TEL: 018-862-7445 ※センター到着後、活動先の秋田市楢山(ならやま)に移動した。 |
参加者 | 宮城県連盟 尾形凜太郎(仙台第2団) 佐藤一紀(仙台第1団) 山形県連盟 大沼環(寒河江第1団) 桝井悠翔(従登録:寒河江第1団、本登録:栃木県連盟) 秋田県連盟 阿部賢勇(秋田第31団) ※本プロジェクトは個人プロジェクトとして実施しており、上記参加者は同内容のプロジェクトを実施するため活動を共にした。特に宮城県から参加する佐藤とは、車移動も含め共に行動した。 |
活動内容 | 被災した家屋の内外の清掃手伝い、物品の移動と片付け。 |
タイムテーブル
7月18日(火)
時間 | 内容 |
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午前 | 隊長に水害支援の実施を提案、企画書と県外旅行申請書の作成を開始。 |
午後 | 企画内容をまとめ、隊長に提出。 |
夜 | 計画書の作成を開始。 |
7月19日(水)
時間 | 内容 |
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午後 | 計画書と県外旅行申請書をまとめ、隊長に提出。 |
夜 | 必要備品を購入。 |
7月20日(木)
時間 | 内容 |
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05:30 | 太子堂駅周辺 集合(佐藤と合流) |
06:00 | 太子堂駅周辺 出発 |
移動 | 長町IC → 北上JCT → 秋田中央IC |
09:30 | 秋田市ボランティアセンター 到着 |
移動 | 活動場所である楢山に移動 |
10:00 | 一軒目での活動開始 |
13:30 | 一軒目での活動終了 |
移動 | 二軒目に移動 |
13:50 | 二軒目での活動開始 |
15:00 | 二軒目での活動終了 |
移動 | ボランティアセンターに移動 |
15:30 | 活動終了 |
移動 | 雄和椿川に移動 シェアハウス好間風で一泊 |
7月21日(金)
時間 | 内容 |
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09:00 | 好間風 出発 |
移動 | 秋田空港IC → 北上JCT → 長町IC |
14:00 | 太子堂駅周辺 到着 解散 |
活動の様子
秋田駅周辺
秋田市災害ボランティアセンター
災害支援の様子
以下、実際に被災された家屋の写真となる。写真の利用について今回は承諾をいただいているが、十分に配慮が必要な行為である点は留意いただきたい。
1Fキッチンの様子。床上20cm程度浸水しており、家電、引き出しの中まで完全に泥が入っている状態。
1Fリビングの様子。畳だけでなく、床においていた書籍、ソファやクッションもすべて浸水。畳を剥がした床が脆くなっており、床板が抜けることもしばしば発生。
1Fから外に運び出した家財。床下の泥の取り出しや消毒等を行う必要があるため、家財は一度すべて運び出す必要があった。また半分程度は破棄する結果となった。
床下の泥の取り出しや消毒等は専門業者による処理が必要であるため、ボランティアは家財の運び出しや取捨選択のお手伝いが主な仕事となった。家財が多かったこともあり、任務の完了までかなりの時間を要した。また床上に残った泥の掃き出しも行ったが、断水だったこともあり、なかなか綺麗にはできない状況だった。
事前準備
本プロジェクトは個人プロジェクトとして実施している。実際の活動としては、同様の個人プロジェクトを立案した4名のRSと行動をともにしたが、あくまで個人プロジェクトの集まりであり、RS隊長の承認のもとで行っている自隊の個人活動である点に留意いただきたい。
各種申請・提出物について
申請・提出をしたものは以下の3つである。
- 活動計画書(所属隊長に提出)
- 県外旅行申請書(所属隊長に提出)
- 秋田市災害ボランティア登録(HP上からフォームで登録)
特に本プロジェクトは県外での活動となるため、県外旅行申請書の記入を行った。また、通常行う「ボランティア保険の加入」については、7月19日より秋田市災害ボランティアセンターが負担をすることになったため、加入手続きを行わなかった。ただし保険適用時の個人情報登録が必要なため、それも兼ねて秋田市災害ボランティア登録を行った。
備品の購入について
ボランティア活動に必要な備品を事前に購入した。ボランティアセンターには、飲み物や食べ物などの食料品はかなり支給されており、特に飲料で困ることはなかった。一方でゴム手袋やマスクなどは不足しており、事前に購入をしておいてよかった。
備品名 | 備考 |
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ヘルメット | ー |
ヘッドライト | ー |
防塵メガネ(ゴーグル) | 泥が跳ねたり、引き出しの中など思わぬところから泥水が出てくる場合も多く、衛生上必ず必要だった。 |
防塵マスク | ー |
タオル | ー |
長袖 | 気温も高かったが、衛生上の観点で必ず長袖長ズボンを着用した。 |
長ズボン | ー |
上下雨具 | ー |
手袋(軍手) | 軍手はあくまでゴム手袋の中で使用。 |
ゴム手袋 | 活動中は必ずゴム手袋が必要だった。 |
金属鉄板入り長靴 | 実際に床が抜け、釘を踏み抜きかけるアクシデントがあった。足全体に鉄板が入っている長靴も必ず必要だった。 |
ガムテープ | 自身に名前を貼るだけでなく、家財に「保存」や「破棄」と貼ったりするなど、ガムテープはとても便利だった。泥があるため養生テープは剥がれてしまう。 |
油性マジック | ー |
塩飴 | 夏季での活動だったため、自身も熱中症対策をしっかり行った。 |
水 | 手を洗ったりすることもあるため、水を準備してよかった。 |
水切りワイパー | 床の泥を掃いたりする上でとても便利だった。持ち帰る予定だったが、そのまま寄付をした。 |
大量のタオル(寄付用) | 現地ではタオルが不足しており、持って行ったタオルはとても喜ばれた。 |
着替えの服 | ー |
備品の購入について
全国社会福祉協議会HP上に掲載されている「水害ボランティア作業マニュアル」(日本財団、レスキューストックヤード発行)を十分に確認した。本災害は夏季の水害であるため、特に衛生やボランティア活動者自身の健康管理に気をつけた。
参考(別ページ):「水害ボランティア作業マニュアル」(日本財団、レスキューストックヤード発行)
秋田の水害について
令和5年7月14日から16日の秋田県の記録的な大雨について
<概況>
梅雨前線が東北北部に停滞し、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、14日から16日にかけて、県内は広い範囲で大雨となり、白神山地や太平山地付近を中心に、激しい雨や非常に激しい雨となった所があった。
総降水量は、多いところで400ミリを超え、解析雨量では局地的に約500ミリとなるなど記録的な大雨となり、藤里、男鹿、秋田、秋田市岩見三内、秋田市仁別、角館では72時間降水量が観測史上1位を更新した。
県のまとめ(27日16時00分現在)によると、五城目町で死者1名、秋田市で負傷者4名の人的被害があったほか、秋田市、五城目町、能代市、三種町、上小阿仁村、仙北市などで河川が氾濫し、床上・床下浸水が発生した。また、秋田市、藤里町で土砂災害が発生するなど、県内の広い範囲で被害があった。
参考(別ページ):「秋田県災害時気象資料」(秋田地方気象台が令和5年7月28日に発表した資料)
8月30日における被害状況
7月の記録的な大雨による秋田市の住宅被害は、8月29日時点で床上浸水が4404軒、床下浸水が2722軒にのぼり、あわせて7126世帯で浸水被害が確認された。これは市の記録における、昭和30年の大雨で1139棟が床上浸水があったのがこれまでの最大であるため、記録が残る中で過去最悪の災害となる見通しである。
秋田朝日放送の8月30日のニュースより引用した。
所感
まずは被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。また、現地で奉仕させていただいたご家庭の皆様や、秋田県連盟の吉田副コミッショナーからも多くの感謝の言葉をいただき、とても嬉しく思います。また急な企画と準備でしたが、一緒に来てくれた仲間と、背中を押してくれた佐藤隊長をはじめ指導者のみなさまにも心より感謝を申し上げます。
人の手が足りない災害の場において、たった5人のローバースカウトではありましたが、直接お手伝いができて良かったと感じています。行動を通して「ちかい」と「おきて」を実践でき、かつローバースカウトとしてこのような時に行動を起こす大切さを再確認することができました。どこでも災害が発生しうる時代において、災害奉仕に常に積極的でありたいと強く思いますし、このような行動を起こす仲間との繋がりを広げていきたいと思っています。