概要
目的 | オーストラリアスカウト連盟の実施している森林火災支援のサポートをする。 |
目標 | ・日本国内への発送を1つにし、オーストラリアスカウト連盟の負担を減らす。 ・英語や豪ドル支払いの壁を感じている国内のスカウトにも気軽に寄付に参加して もらう。 ・スカウトの活動を周りの人へ伝える。 |
期間 | 2020年 1月10日〜5月24日 |
場所 | ー |
参加者 | 東京連盟 枝迫七海、枝迫雄大(世田谷地区 世田谷10団) |
活動内容 | ワッペン共同購入の受け入れ、及び郵送 |
予算・参加費 | 約155万円 |
オーストラリアで発生した大規模な森林火災について
オーストラリアで2019年9月から2020年2月にかけて、南東部のニューサウスウェールズ州を中心に発生した大規模な森林火災を指す。2019年は特に平均降水量が少なく、かつ平均気温も過去最高を記録しており、12月には熱波の到来などもあった。2019年9月にオーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州を中心に森林火災が発生し、乾燥や高温、強風などの条件が重複したことも相まって甚大な災害となり、類焼面積10,700,000ヘクタール以上、5900棟以上の建物が被害を受け、死者29名となった。
森林火災の発生を受け、オーストラリア連盟では支援活動の一貫として、スカウトたちが支援を示す同一のバッジをつけられるようにバッジの販売を開始した。バッジの購入により、その売上全額が火災への対応や再建などの支援活動へと寄付される。バッジはオーストラリア連盟のオンラインストアから購入をすることができた。
スケジュール
日時 | 内容 |
---|---|
2020年 1月10日 | オーストラリアスカウト連盟が支援ワッペンを販売することを知る。 |
1月12日 | 申込フォーム作成、宣伝開始。 |
1月15日 | オーストラリアスカウトショップに共同購入する旨を連絡し、大量購入に備えたやりとりを始める。 |
1月16日 | 日本連盟から制服着用のお知らせが出る。 |
1月20日 | 募集締め切り。 |
1月21日 | 注文・支払い。 |
1月28日 | ワッペン到着。 |
2月1日 | 振込に関するメール配信。 |
2月2日 | 発送作業。 |
2月3日 | 発送。 |
5月24日 | 報告書提出。 |
活動の様子
ワッペン基本情報
名前 | Bushfire Recovery Badge Scouts Australia |
販売ページ | オーストラリア連盟スカウトショップ(外部リンク) |
サイズ | 7.3cm×7.3cm |
値段 | 1枚1豪ドル |
目的 | オーストラリアのすべてのスカウティング支部と被害にあったスカウトの家庭への支援金とする。 |
備考 | 日本連盟の制服着用に関するページ(外部リンク) |
申し込み受け入れ体制構築 Googleフォームの利用
申し込みの方法として、Googleフォームを活用した。氏名をはじめ、自分たちが必要とする情報をまとめて聞くことができ、Googleスプレッドシートに変換して管理できるため、便利だった。
申込にあたり尋ねた情報は以下の通り。
① 氏名(漢字フルネーム半角スペース空け)
② 所属(県連・地区・団の記入、非スカウトは未記入可)
③ 郵便番号(半角数字入力、郵便マーク無し)
④ 住所
⑤ 電話番号(半角数字入力)
⑥ 購入個数(半角数字のみ(単位無し)での入力)
⑦ 入金方法
⑧ 配送方法
宣伝
以下の4つの方法で宣伝をした。
普段から活動の様子を載せているFacebookページに申込フォームを載せ宣伝をした。最初の宣伝投稿は540人にリーチし、91件シェアされた。
七海と雄大のFacebook投稿にて宣伝をした。
七海と雄大のInstagramストーリーにて宣伝をした。中高生やFacebookを使わない人へのリーチに繋がったと考えられる。
職場や学校で同僚や友人に声をかけた。海外に関心のある人やオーストラリアが好きな人からご協力いただいた。
最終的な購入者・枚数
274人の方・団体にご協力いただいた。団や地区、県でまとめていただくとこちらの郵送負担が減り、助かった。1枚から240枚までさまざまな枚数の注文があった。
入金受け入れ
PayPal、銀行振込(ゆうちょ銀行、三井住友銀行)、直接の4種類用意した。
利用数は以下の通り。2回注文して1回で振り込むパターンがあるため、合計数が262になっている。
①PayPal……………33
②ゆうちょ銀行……76
③三井住友銀行……10
④直接………………53
受け渡し・発送
直接、郵送の2種類用意した。当初、知り合いからの申込しかないと考えていたため直接受け渡しを選択肢に入れた。しかし、日本全国からの申込、新型コロナウイルス禍により郵送がほとんどであった。
1.郵送料
申込枚数によって以下のように郵送料を設定した。それぞれ該当の人数も以下の通り。
① 1枚~ 4枚…… 84円・76人
② 5枚~ 10枚…… 94円・66人
③ 11枚~ 24枚……140円・28人
④ 25枚~ 61枚……180円(スマートレター)・22人
⑤ 62枚~168枚……370円(レターパックライト)・5人
⑥169枚~240枚……520円(レターパックプラス)・2人
2.メール
7つの項目に分け、一人ひとりの希望に対応したメールをした。
① 現金×直接
② 振込×直接
③ PayPal×直接
④ 振込×郵送
⑤ PayPal×郵送
⑥ 現金×人づて
⑦ 振込×人づて
3.宛名・送り主シール
- 宛名シールは全員分作ったことで、直接渡す分も封筒で管理することができた。
- 宛名シールの右下に「オーストラリアワッペン在中(〇枚)」と記入したことで、袋詰めの効率が上がった。
4.同封物
①セロファン袋
ワッペンをセロファンの袋に入れ、破損や濡れの防止とした。
②受領書
団や地区での購入もあったため、個人・団体を問わず、一律で同封した。
③Thank youカード
ご協力いただいた感謝と受け渡し時点で分かっている簡単な会計報告をカードにした。
現金寄付
オーストラリアスカウト連盟のFamily Support Fund(外部リンク)に残金を全て寄付した。
オーストラリアスカウト連盟、アジア太平洋地域等からの評価
- オーストラリアスカウト連盟HP(外部リンク)に記事の掲載
- オーストラリアスカウト連盟Facebookページ(外部リンク)に掲載
- オーストラリアスカウト連盟の機関誌への掲載
- その他オーストラリアのFacebookグループでの情報のシェア
- MoP Bulletin Issue No.29の24ページ(外部リンク)に掲載
- RCJ関東ブロックからの取材(外部リンク)
- 香港スカウト連盟スカウティング誌(外部リンク)への掲載
評価報告
- オーストラリアスカウト連盟から販売の発表があってからすぐに動くことができた。
- 早い段階からオーストラリアスカウト連盟とやり取りをし、大量購入に備えることができた。
- 事前に申し込みを受けた上でオーストラリアスカウト連盟へ発注できたので、数を把握し、申込者全員に対応できた。しかし、締め切り後の申込には対応することが難しいこともあった。
- 大量の枚数を2人で数えていたので、ミスすることがあった。
- さまざまな寄付方法、受け取り方法を用意したため、管理が大変だった。
- 慣れていないPayPalを使ったため、手数料をこちらが負担することになった。
- メールは自動化しておらず、約300人へ一人ひとり手作業で送るのが大変だった。
- 申し込みがあったものの連絡が取れなくなったり、キャンセルになったりすることが数件あり、驚いた。
- 2月22日のBP祭に合わせて国際理解のきっかけとして協力してくれる方・団体が多かった。そのため発送を急ぐ必要があった。
- このプロジェクトについて、職場で発表し、約300人の中学生に取り組みを伝えることができた。
- 予想を超えるお金が必要になったので父のお金を借りた。
- スカウトでない友人や同僚からの賛同も得られた。
- 届いた後にSNSで投稿をしていただいたり、暖かいメールやお手紙をいただいたり、県連盟章など贈り物をいただくことがあり、達成感につながった。
- ガールスカウト成人会員による自主グループ「JMS~Japanese Mature leadres Say~」のみなさまには宣伝の手伝いや、さまざまなサポートをしていただき、助かった。
Messengers of Peace(MoP)
WOSMのMoPのページに登録した(外部リンク)。
所感
枝迫七海
弟とこのプロジェクトを始めると決意した際は、日本全国、ボーイスカウトだけでなくガールスカウト、また同僚や友人含め約300人もの方々にご協力いただき、150万円以上のお金を動かすことになるとは思ってもみませんでした。私はオーストラリアを訪れたことはありませんが、さまざまな活動で出会った友人が住んでいたり、弟が留学していたり、行ってみたいワーキングホリデー、大好きなオージービーフ…と身近に思う国の1つでした。このようなきっかけでしたが、オーストラリアへ少しでも貢献することができ、良かったと思います。
今回は、周りの方々に行動の早さを褒めていただくことが多かったです。いつも通り「思いついたら即行動!」し、仕事との両立などさまざま不安なこともありましたが、無事に寄付を終え安心しています。そしてこの動きを、オーストラリアスカウト連盟のHPやAPRのMoP Bulletinで記事を掲載していただくなど評価していただいたこと、嬉しく思います。
ただ、ローバースカウトとして活動をするにあたって、「スカウト」という枠を超え、自分の力で「Creating a better world」に必要なことを見極め、プロジェクトを起こしていくべきなのではないかと考えています。残り2年ほどローバースカウトでいられます。この期間に何か納得できるものを成し遂げたいです。
最後になりますが、ご協力くださったみなさま、支えてくださったみなさまに感謝いたします。オーストラリアに今後今回のような大きな森林火災が起きないよう、一刻も早く、被害にあった方々が普通の生活に戻れますよう願います。
枝迫雄大
元来、ワッペンコレクターである私たちとしては、このワッペンを買わない手はありませんでした。当初は知り合いや友人たちを巻き込んだ小規模な購入になる予定でしたが、想定以上に多くの人の協力を得ることができ、感謝しています。
私は大学2年次の半年間、西オーストラリア州のパースへ留学し、大学で学ぶ傍らで現地のスカウティングに指導者として参加したり、国内旅行で訪れたメルボルンでもローバスカウトと交流したりしていました。今回の寄付はオーストラリアで被災したスカウトへ向けたものということで、多くの学びをいただいたオーストラリアへほんの少しではありますが、恩返しをすることができたように思っています。
実際にやってみると、一度立て替えて購入するために莫大なお金がかかったり、枚数によってかかる送料が異なっていたりと、データと物、お金の管理を細かく行う必要があり、枚数を申請して、購入する「だけ」のはずが、とても難しいことをやっているかのように思えました。一通りやってみて改善点も多く見えたので、今回の経験はまた別の機会にもそのまま活かせる事例になったと考えています。
また私は、ローバースカウトの活動は社会と接点を持つことでより有意義なものになると考えています。今回のプロジェクトはスカウトのみならず、高校や大学の友人、地域の方たちからも賛同を得られたものになりました。スカウト活動の幅広さを知ってもらうきっかけにもなり、とても良かったと思います。とはいえ、今回はオーストラリアスカウト連盟の企画に協力した形で、自分たちのオリジナルアイデアによるプロジェクトではありません。今後は自分たちで課題を見つけ、解決策を構築できるような能力を身に着けていきたいと思っています。
最後になりますが、ご協力くださったみなさま、支えてくださったみなさまに感謝いたします。オーストラリアに今後今回のような大きな森林火災が起きないこと、また一刻も早く、被害にあった方々が普通の生活に戻れることを願っています。